広告の成果、透明性、コントロール ― これからのデジタル広告に求められる「3つの鍵」
CES 2026で、ひとつのことが明確になりました。
それは、パフォーマンス(成果)はもはやクオリティ(品質)と切り離して考えることはできない、ということです。
AIがアプリ、ウェブサイト、プラットフォームを横断し、広告の買い付け・最適化・配置を加速させる中で、業界は「最低限の保護」という基準を超え、より高い水準である「コンプリート・メディア・パフォーマンス(完全なるメディア成果)」を求めて舵を切っています。そこでは、透明性、適合性、そして計測精度は単なる「防御」ではなく、ROI(投資対効果)を牽引するための中核要素として位置づけられています。
今回のCESでは、C Spaceでの対談、パートナーセッション、そしてブランド企業やエージェンシーとの議論、それらの全てを通じて、一貫したメッセージが浮かび上がりました。それは、「AI主導のエコシステムにおいて、見えないものは最適化できず、最適化できないものは自信を持ってスケール(拡大)できない」ということです。その現実こそが、CES 2026から得られた最も重要な教訓だったと言えます。
注目すべきは、派手なデモンストレーションでも、未来予測でもありませんでした。ブランドが実際にどのようにメディア戦略を推進しているのか、そしてパフォーマンスが一体どこでほころび始めているのかという、極めて実務的な対話の中にこそ、真実があったのです。
AIは「感嘆」の対象から「責任」を問われるフェーズへ
「IASのコンテンツ分類はすべて自動化されています。自動ラベリングや、適切・不適切なコンテンツの識別といったプロセスの約97〜98%が自動で行われているのです。これが何をもたらしているか? それは『精度』の向上です。私たちのテクノロジーは極めて高い精度を誇り、イノベーションとスピードを加速させています。その結果、ブランド企業は自らの投資からさらなる高いパフォーマンスを引き出すことができるのです」
リサ・アッツシュナイダー(IAS, CEO)
非常に大きな反響を呼んだセッションの中で、IASのCEOであるリサ・アッツシュナイダーと、TikTokの北米プロダクト&クライアントソリューション責任者であるデヴィッド・カウフマン氏が、CESのホストジェームズ・コテッキ氏を交えて登壇し、AI駆動の最適化についての議論が交されました。結論は、驚くほどシンプルなものでした。「AIが単独でROIを向上させるのではない。可視性こそがROIを向上させるのだ」ということです。
現在、他社をリードするブランドが実践しているのは、AIを意思決定の「代替」としてではなく、意思決定を「強化」するために活用することです。 そして、この違いこそが、2026年においてかつてないほど重要な意味を持っています。
計測が問題なのではない。
それを「運用」できていないことが問題なのだ
「C Space Studio」での議論は、表面的なバズワードの域を瞬く間に通り過ぎ、より困難な真実へと踏み込んでいきました。それは、「計測の技術的な進化は、ほとんどの組織が実際に使いこなせるスピードよりもはるかに速く進んでいる」という事実です。
「昨日の天気予報を伝えるような計測には、もはや意味はありません。私たちが本当に必要としているのは、状況をプロアクティブに、先回りして変えていくためのデータなのです。」
スリスティ・グプタ(IAS, CPO)
IASの最高製品責任者(CPO)であるスリスティ・グプタと、マスターカードのシニア・バイス・プレジデント(アドバンスド・アナリティクス・プロダクト担当)であるスコット・リヒテンタール氏は、メディア品質のデータとコマース・シグナルが、どのように融合し始めているかについて掘り下げました。そこで浮き彫りになったのは、真の摩擦(課題)は技術的な問題ではなく、「組織構造」にあるということでした。
また、IASのグローバル・レベニュー担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントであるキャリー・サイファーは、Spark Foundryのチーフ・トランスフォーメーション・オフィサー兼グローバル・グループ・クライアント・リードであるリサ・ジャコーザ氏と共に登壇し、自動化が進む世界でいかに「コントロール」を維持するかという点について、率直な意見を交わしました。
現在、ブランド企業はかつてないほど多くのシグナルを手にしています。
しかし、彼らに欠けているのは、自動化に完全にコントロールを委ねることなく、メディア品質を「現実の成果」へと結びつける明確な手法です。 インサイト(洞察)とアクション(実行)の間にあるこの溝を埋められるかどうかが、パフォーマンスの成否を分ける境界線になると結論付けました。
自動化が先行する時代
人間はどう主導権を握るべきか
CESにおける重要な会話のすべてが、テクノロジーの構成要素に焦点を当てていたわけではありません。そのテクノロジーを管理する役割を担う「人」に焦点を当てた議論もありました。
「C Space Storytellers」のセッションでは、IASのCOOであるマーク・グラボウスキーがモデレーターを務め、ジム・スクワイアーズ(Reddit ビジネスマーケティング&成長担当EVP)、ジョー・オルセン(Vector CEO)、カラム・マリック(Walmart ビジネス&プロダクトマーケティング担当VP)、そしてニリ・クレノフ(Mastercard Commerce Media コマースメディア&イノベーション担当EVP)という、業界を牽引する豪華なパネリスト陣を迎え、テクノロジーを管理する「人」の役割について議論を行いました。
また、IASのキャリー・サイファーがモデレーターを務めた「Brand Innovators」のパネルでは、ショーン・ボイル(Starz ストラテジー&プランニング担当SVP)、モリー・フィナティ(Zenith チーフ・インベストメント・オフィサー)、イナ・カーン(ESPN メディアストラテジー&プランニング担当VP)、ノエル・ペレス(Samsung Electronics America メディア責任者)らと共に、ブランドがいかにして「ブランド文化」と「テクノロジー」が交差する点を進んでいくべきか、という課題を議論しました。
AI主導のシステムがより複雑化し、予測が困難になる中で、真に強力なリーダーたちは「確実性」を約束したりはしません。彼らが構築しているのは、確実性が失われたときでも適応できるように設計されたチーム、プロセス、そして文化なのです。
この「曖昧さの中でも自信を持って行動できる能力」こそが、現在の広告業界において最も過小評価されている競争優位性なのかもしれません。
2026年に問われる真価
CES 2026は、全く新しい戦略を提示したわけではありませんでした。
むしろ、これまでの戦略だけではもはや不十分であることを確信させた場となりました。
広告業界は、大きな転換点を迎えています。
- 「保護」から「パフォーマンス」へ
- 「自動化」から「説明責任」へ
- 「推測」から「実証」へ
IASは、この変化を羅針盤としてプロダクト開発を続けています。メディア投資が単に「安全」であるだけでなく、かつてないほど高速化・自動化が進み、そして厳しい成果が求められる環境において、確かなパフォーマンスを発揮できるように。
私たちは、年間を通じてこれらの重要な対話を皆さまと続けていけることを楽しみにしています。
業界を前進させるIASのさらなるインサイトやイベントに、今後もぜひご注目ください。
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