日本のインターネット広告関係者が予測する2021年の優先課題、 トップは「サードパーティクッキーの非推奨化」
インターネット広告の計測と効率化を実現するアドベリフィケーション・ソリューションを提供するIntegral Ad Science(本社:米国ニューヨーク、CEO:リサ・アッツシュナイダー / 日本オフィス:東京都千代田区、以下 IAS)は2021年1月19日、日本のインターネット広告関係者175名が参加した意識調査の結果をまとめた「Industry Pulse 2021 日本版」を発表しました。2021年の業界の共通課題そしてトレンドとして挙げられたのは、サードパーティクッキーの非推奨化、モバイル技術革新、そしてコンテキスト広告でした。
レポートダウンロード:https://go.stagingias.wpengine.com/industry-pulse-report-2021-jp.html
調査結果の主なポイント:
1. 2021年の業界課題トップはサードパーティクッキーの非推奨化、 データプライバシー、そしてコンテキストターゲティングへの対応
多くの業界関係者は、これまでにデータプライバシー規制の強化への対応としてコンプライアンスを確保するための対策を進めてきました。2021年のデジタル広告業界にとって、サードパーティクッキーの非推奨化は依然として最重要課題であり、61%が2021年の最重要課題だと回答しました。昨年、業界の焦点は法制化に向けられていましたが、2021年はここうした変化がもたらす影響を正確に測定することが重要視されています。データプライバシー規制の強化は、日本の業界関係者の半数近く(44%)が重要課題と認識しており、サードパーティクッキーによるトラッキングに代わるものとしてコンテキストターゲティングへの関心も高まっています。
2. 進むモバイル技術のイノベーションに寄せられる期待
eMarketerによると、2021年のモバイル広告費は122億4000万ドルに達し、日本のデジタル広告費全体の73.4%を占めると予測しています[1]。モバイルは何年も前から広く採用されているデバイスですが、本調査の回答者の66%は、新しいテクノロジーとモバイル動画消費の増加の組み合わせが、モバイルの価値をより確固たるものにするだろうと予測しています。回答者の76%は、モバイル環境におけるコンテキスト広告技術の進化が2021年にイノベーションを加速させると考えており、64%は5Gの採用が拡大していることがイノベーションの原動力になると指摘しています。
3. OTT動画配信サービスとコネクテッドTVの躍進は、従来型テレビに食い込むか
OTT動画配信サービスやコネクテッドTVの普及率、加入率ともに大幅な伸びを示しており、プラットフォームの選択肢も増えているにもかかわらず、広告予算を従来型TVコマーシャルからOTT、CTVへシフトする動きはまだゆっくりとしています。2019年のデジタル動画広告市場は前年比157.1%の3,184億円と大きく伸長し、全体の19.1%を占め[2]、今後もさらなる成長が見込まれています。本調査対象者の77%が、消費者のステイホームが続く中で、従来型TVからOTT、CTVへの移行が加速すると考えています。また、74%が、デジタル動画、OTT、そしてCTVの広告費とメディア消費の両方が関連技術のイノベーションによって増加するだろうと予測しています。
4. ソーシャルメディアに求められるのは、さらなる透明性の向上
ソーシャルメディア広告は、今後も引き続きデジタル戦略において貴重な役割を果たすことになりそうです。ソーシャルメディア広告に投資される金額は年々増加しており、2021年には5,985億円に達すると予測されています[3]。調査回答者の52%がソーシャルメディアを最優先のメディアとしているのもうなずけます。一方で、77%が、メディアの品質指標の透明性が不十分であることが、2021年のソーシャルメディアへの支出に影響を与えると回答しました。また、メディア品質の透明性が不十分なためにメディア支出が調整される可能性が高いプラットフォームとして、YouTube(37%)とFacebook(34%)が挙げられました。どちらのプラットフォームも他に類を見ないオーディエンスへのリーチとエンゲージメントを提供しており、広告戦略に欠かせないプラットフォームになっており、広告主はジレンマに陥っています。回答者の6割以上(66%)が、ソーシャルプラットフォームでのアドフラウドが2021年の懸念事項である、とも予測しています。
5. プログラマティック広告の躍進なるか、強まるメディア品質へのこだわり
プログラマティック広告は引き続き成長を続け、今後一年でかつてない成長を遂げる可能性があると予測されます。しかし、業界関係者は成長著しいプログラマティック広告に対してリスクが高いと感じており、広告検証の必要性を感じています。調査回答者の30%が、2021年にはプログラマティックの透明性とサプライパスの最適化が重要な課題になると回答。IASは、新しいテクノロジーの出現と業界のパートナーシップの強化により、2021年はプログラマティックの透明性がさらに向上すると予想しています。
IAS Japan シニア アカウント エグゼクティブ 山口武 コメント:
2020年は人々が自宅で過ごす時間が前例のない規模で増えました。これにより、世界的にはコネクテッドTVが大きく成長しましたが、日本ではソーシャルメディアの利用やモバイル端末での動画視聴が大幅な伸びを記録しました。誰もが経験したことのない過酷な状況で、国内のマーケターは来るべきポストクッキーの時代に備え、信頼性の高いソリューションを求め、コンテキストターゲティングに注目を寄せ初めています。このIndustry Pulse レポートの回答からも、広告主の皆様が2021年以降もデジタル広告の信頼性を維持するため、すべての広告チャネルにおいて精確なメディア品質の計測と管理を強く求めていることが明らかになりました。
Industry Pulse について:
インターネット広告関係者を対象に、前年に直面した課題や今後12か月以内に予測されるトレンドなどについてのアンケート調査をまとめたもので、2016年より毎年アメリカとイギリスで実施してきました。2021年日本版は、業界関係者175名が参加したアンケート調査の結果を分析し、2021年に業界のプロフェッショナルがどのような課題に直面し、どこにチャンスを見出しているのかをレポート形式にまとめました。
[1] 出典:eMarketer 「Total Media Ad Spending, Japan」
https://forecasts-na2.emarketer.com/584b26021403070290f93a8f/5a6657b600ea9b064048bda1
[2] 出典:eMarketer「Digital Video Ad Spending in Japan, 2018-2020」
https://chart-na2.emarketer.com/235045/digital-video-ad-spending-japan-2018-2020-billions-of-change
[3] サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ