
2022年に求められる
マインドセットごとのマーケティング
広告業界が迫り来るクッキーレス時代への対応を進めながら既成化されたオーディエンスターゲティングの利用を減らしている現在、広告主がコンテクストツールに意識を向ける絶好の機会が訪れています。「ビジネスニュースを読む消費者とフィットネス コンテンツに関心を寄せる消費者のマインドセットは同じではない」という観点に立ち、オーディエンスの関心を引くコンテクストをマーケターが理解することが重要になると予想されます。
今後はマインドセットごとにマーケティングを行うことが鍵となるでしょう。
レポート「アジア太平洋地域におけるコンテキストの力」では、消費者が広告やブランドに対して抱く印象にコンテキストが及ぼす影響について考察しています。この調査において、消費者はコンテキストに関連性のある広告に対して高い受容力を示すことが明らかになりました。アジア太平洋地域に暮らす消費者の大多数(インドネシアでは消費者の96%、シンガポールでは91%、オーストラリアでは86%、日本では75%)は、デジタル広告が関連コンテンツのそばに表示されることを好んでいます。「コンテクストの影響」という別の調査では、記憶の定着率は広告コンテキストによって最大40%向上することが示されています。このような調査結果からは、デジタルマーケターが適切な環境で消費者にリーチすることで、ブランドに関する記憶の定着率を向上させてポジティブな感情的反応を引き出せることが分かります。
最重要となるのは引き続き
ファーストパーティー データ
Googleがサードパーティー クッキーの段階的廃止を延期すると発表したことに、業界は安堵の声をあげました。ですが、クッキーがいずれ廃止されることや広告ID(IDFA)の影響を踏まえると、マーケターは代わりとなるものを早急に見つけ出す必要があります。レポート「日本およびアジア太平洋地域におけるプログラマティック広告の現状 – 2021年版」によると、日本およびアジア太平洋地域で活動するブランド企業の65%以上が現状に不安を抱いています。広告主がキャンペーンをパーソナライズする際に行動ターゲティングに依存し続けてきた年月を思えば、この不安は妥当なものでしょう。
あらゆるブランド企業のマーケティングに関する取り組みにおいて、ファーストパーティデータが取り組みの推進力と見なされるケースが徐々に増加しています。これは2022年にマーケターが特に注目すべき傾向となるでしょう。集めたファーストパーティデータに優先順位付けをする方法を見出すことがブランド企業に求められます。この傾向は、日本およびアジア太平洋地域で活動するマーケターの25%以上がSSP、アドエクスチェンジ、DSPによる支援に注目していることや、パブリッシャの32%がファーストパーティデータの獲得に投じる金額を増やしてユーザー認証を改善しようとしていることからも判断できます。
短編動画の人気が上昇を続ける
世界的にも個々の地域でも、インターネット上の動画コンテンツ量はアクセスの容易さを武器に爆発的な増加を見せています。eMarketerのデータによると、デジタル動画広告は2025年までにアジア太平洋地域におけるインターネット ユーザーの82.2%にリーチできるようになると予測されています。パンデミックの間、TikTokやInstagramのReelsに代表される短編動画が人気を得ていく様を目の当たりにしました。個人的には、短編動画のエンゲージメント率は成長を続けると見ています。これらはプラットフォームとして重要なだけではなく、マーケターが(動画が縦表示されることが多くブランド メッセージを少しでも早く伝えることが肝要な)モバイル環境の視聴行動に配慮しながら、これらをマーケティング目標として取り入れることやメディア品質を保護する手段として加えることも同様に重要となります。当社のMQR レポート 2021年上半期版によると、オーストラリアでは動画ビューアビリティ率が上昇、デスクトップ動画広告の視聴完了率が78.3%と世界最高、ドロップオフ率は世界最低を記録したと示されており、オーストラリアの人々が動画コンテンツを楽しんでいることがよくわかります。動画人気が今後も上昇することは確実でしょう。
高度なデータ、テクノロジー、測定指標が
CTV広告の未来を創る活力となる
パンデミックによって自宅に閉じ込められた何百万もの視聴者にとって、コネクテッドTV(CTV)はすぐに利用できる動画の供給源でした。eMarketerの推定では、広告主は今年中に134億米ドルをCTVに投じ、この金額は2024年までに247億米ドルへ増加すると見込まれています。視聴者を集団としてとらえた場合、この種のプラットフォームで視聴される広告が増えていく中で視聴者はより強く広告に引き付けられて感情移入するようになるという傾向が当てはまります。当社が昨年後半に実施したCTVに関する調査「ストリーミング戦争」によると、CTVはインドネシアの消費者10人のうち7人が利用しているなど同国で一般的なものとなっており、回答者の実に80%がAVOD(広告型動画配信サービス)を好み、無料の動画ストリーミングを利用する代わりに広告を視聴することに抵抗がないと判明しました。オーストラリアでは、消費者の10人に8人がCTVを利用しており、その半数近く(47%)がモバイル、デスクトップ、タブレットと比較してCTVでの動画コンテンツのストリーミングを好んでいます。また、CTVは全体で最も「ビューアブル」なフォーマットの立場を維持しており、当社のメディア クオリティ レポートによると2021年上半期には93.2%のビューアビリティ率に達しています。
今年CTV広告に投じられる金額の10分の7が、プログラマティックに処理または実現されると見込まれています。eMarketerによれば、この金額は100億米ドルを上回ることになりそうです。2021年末までにCTV広告に投じられる金額は59.9%増加して144億4,000万米ドルになると予想されています。2021年も終わりが近づき2022年が迫る中、プログラマティック広告の購入者がCTVへの指向を強め、ストリーミングを利用するオーディエンスの視聴エクスペリエンスが大きく向上することは確実だと考えられます。
CTVは地域によっては依然として発展初期段階にありますが、従来のTVが実現する規模と注目度にデジタルによる精度を組み合わせることで、マーケターに非常に大きなメリットをもたらします。アジア太平洋地域において、CTVの視聴者は長時間視聴すると同時に長尺の動画を選ぶ傾向があります。また、視聴動画の種類もスポーツから旅行動画、料理など多岐にわたります。個人的には、CTVの利用は2022年も増加すると予想しています。
CTVの急速な成長に支えられて動画の利用率が増加する中、プログラマティック広告が提供する制御力と規模は今以上に欠かせない要素となるでしょう。プログラマティック技術が発展することで、プログラマティック広告は高品質なインプレッションへの投資を促進するだけでなく、プライバシー保護の遵守、コンテキスト回避、豊富なチャネル レベルのインサイトを組み合わせたターゲティングを駆使したベリフィケーションを超える価値をも実現します。
YouTubeは確かに人気ですが、広告主は動画プラットフォームについて幅広く検討し、それらのプラットフォームに強力な測定指標を整備する必要があります。