昨今のAPAC市場のメディア品質は、単に地域平均のベンチマークを把握するだけでは捉えきれない、多様な傾向を示しています。
1日3,000億件を超えるデジタルインタラクションを分析したIASの「第21版 メディアクオリティレポート(MQR)」のデータから、2025年通年のグローバルおよびAPACの動向を振り返りながら、地域平均だけでは見えてこないメディア品質の実態と、広告主が押さえておくべきポイントを紐解きます。
2025年、メディア品質はグローバル全体で改善
一方でリスクは特定の環境に集中
2025年を通じて、グローバルではビューアビリティ、ブランドセーフティ/適合性、MFAなど、主要なメディア品質指標に改善が見られました。一方で、その改善はすべての広告環境で均一に進んでいるわけではありません。
特にリスクが集中したのが、モバイルウェブのディスプレイ広告です。全インプレッションの45.1%を占める一方、ブランド適合性違反の54.9%、MFAの71.9%、アドクラッターの71.5%を占めました。また、MFA率は2.0%と、デスクトップの0.5%の4倍に達しています。
こうしたグローバルの傾向を踏まえてAPACに目を向けると、さらに重要なのが「平均値だけでは実態を捉えきれない」という点です。APACはMFAやIVTなど一部の指標では他地域より良好な水準にある一方、ブランド適合性では異なる傾向が見られます。さらに、同じAPACの中でも国によってメディア品質には大きな差があります。
北米、EMEAとの比較から、APACの現在地を見ていきましょう。
北米、EMEA、APACのメディア品質はそれぞれ異なる傾向
北米は、ブランド適合性の不適合率が基準値の1.0倍と3地域で最も低い一方、IVT(無効トラフィック)率は1.36%、MFA率は1.5%と、いずれも最も高い水準となりました。EMEAでは、ブランド適合性の不適合率が基準値の1.5倍と最も高かった一方、アドフラウドに関する指標は比較的低い水準でした。
一方のAPACは、MFA率が0.7%と、EMEAの0.9%、北米の1.5%を下回り、主要地域で最も低い水準を記録しました。IVT率も1.1%と北米を下回りました。その一方で、ブランド適合性の不適合率は基準値の1.3倍と、北米を上回っています。
つまりAPACでは、MFAやIVTのリスクは比較的低い一方で、ブランド適合性については引き続き注意が必要です。
日本に目を向けても、この傾向の一端が見られます。2025年の日本のIVT率は0.55%で、計測インプレッション数の多い世界の主要10市場のうち、ポーランドの0.35%、イタリアの0.46%に次いで3番目に低い水準でした。一方、ブランド適合性違反率は基準となる米国の1.6倍で、スペインの2.5倍、イタリアの2.1倍に次いで3番目に高い水準となりました。
アドフラウドのリスクが比較的低くても、ブランドに適したコンテンツ環境が確保されているとは限りません。日本を含むAPACでキャンペーンを展開する際には、こうした指標を個別に捉えることが重要です。
APACのブランド適合性リスクにどう対応するか
では、こうしたブランド適合性リスクに、広告主はどのように対応すべきでしょうか。
重要なのが、入札前の段階でリスクを回避する「事前入札での最適化」です。広告が配信される前にブランドに適さない広告掲載面を除外することで、リスクを抑えるだけでなく、より適した環境へ予算を振り向けることができます。
IASのデータでは、広告配信状況の計測(モニタリング)に加えて、事前入札でのフィルタリングを活用することで、業種を問わずブランド適合性リスクを大幅に低減できることが示されています。
動画広告のビューアビリティは上昇
しかしAPAC内でも大きな差
2025年通年のグローバルの動画広告ビューアビリティは79.7%に達し、ディスプレイ広告の67.9%を11.8ポイント上回りました。動画広告のビューアビリティがディスプレイ広告を上回る傾向は、すべての主要地域で共通して見られています。
APAC全体でも、動画広告のビューアビリティは80.2%と、グローバル平均の79.7%をわずかに上回る高い水準となりました。
しかし、国別に見ると再び状況は大きく異なります。
APACでは、オーストラリアの動画広告ビューアビリティが83.83%と最も高く、世界の主要10市場の中でも2番目に高い水準を記録しました。一方、日本は63.21%とグローバル平均を16.49ポイント下回り、主要10市場の中で最も低い水準となりました。オーストラリアと日本の間には、20ポイント以上の差があります。
この大きな開きは、「APAC平均」だけでは各市場の実態を十分に把握できないことを示しています。同じ地域内であっても、広告が実際にユーザーの目に触れる機会には大きな差があるため、キャンペーンの評価や最適化においては、地域平均だけでなく国ごとのベンチマークを確認することが重要です。
APACのデータから広告主が押さえるべきポイント
2025年のデータから見えてくるのは、APACのメディア品質を一つの平均値だけで評価することの難しさです。
- MFAやIVTは比較的低水準
APACのMFA率は0.7%と、主要地域の中で最も低い水準を記録しました。IVT率も1.1%と北米を下回っています。日本でもIVT率は0.55%と、世界の主要10市場の中で3番目に低い水準となりました。 - ブランド適合性には引き続き対策が必要
一方、APACのブランド適合性の不適合率は基準値の1.3倍となっています。日本でも基準となる米国の1.6倍と、主要10市場の中で3番目に高い水準でした。アドフラウドのリスクが低い市場であっても、ブランドに適した広告掲載環境が確保されているとは限りません。 - APACでも国ごとのパフォーマンスに大きな差
動画広告のビューアビリティはAPAC全体では80.2%と高水準ですが、オーストラリアの83.83%に対し、日本は63.21%でした。地域平均だけでは、こうした市場ごとの違いを捉えることはできません。
APAC全域でキャンペーンを展開する際には、地域平均を一つの目安としながら、国や広告環境、メディア品質指標ごとのベンチマークを確認することが重要です。その上で、それぞれの市場に合わせたブランド適合性対策とパフォーマンス測定を行うことが、より効果的なキャンペーン運用につながります。
APACと日本のメディア品質をさらに詳しく
「2025年 メディアクオリティレポート(MQR)」では、APACの最新ベンチマークから国ごとの違いまで、メディア品質の最新動向を詳しく紹介しています。
地域平均だけでは見えてこない市場ごとの特徴を把握し、データに基づいたキャンペーンの評価・最適化に、ぜひレポートをご活用ください。


