猛威を振るう新型コロナウィルスは、世界中で政治や経済に甚大な影響を及ぼしています。医療や教育、飲食や旅行といった業界だけはなく、広告業界にもその影響は波及しています。
IASでは、デジタル広告市場における混乱の兆しを受け、2020年3月12日にアメリカの消費者を対象にしたアンケート調査を実施しました。
「広告が表示される配信面・コンテンツ環境をどのように認識しているか」や「新型コロナウィルスにより、自身のデジタル行動がどう変化しているか」など、多岐に亘る設問で構成されるこのアンケート調査は、その後、フランスやドイツ、シンガポール、そして日本でも実施しています。
今回は、日本の調査結果の概要をお届けします。
「オンライン行動に変化あり」は7割
新型コロナウィルスの影響から、54%の消費者が「閲覧するコンテンツの種類に変化があった」と回答し、69%が「ネット積極的に新型コロナウィルス関連の情報収集を実施する」と回答するなど、詳細な情報を求めてオンライン上での行動が変化していることが伺えます。
その一方で、オンライン上で目にする広告について消費者の69%は「新型コロナウィルスに関連するコンテンツに広告が表示されても、ブランドに対する好感度に変化はない」と回答しています。広告主のなかには新型コロナウィルス関連コンテンツを「ブランドリスク」と捉え、広告表示を制限しようとする動きもあります。しかし、今回のアンケート調査からは、一律で広告掲載を制限・排除することは得策ではないことがわかってきました。
関連コンテンツと広告受容
企業による新型コロナウィルス関連コンテンツへ広告出稿の是非については、意見が分かれています。22%が「広告表示はふさわしくない」と回答した一方で、35% は「広告が表示されても気にしない」と回答しています。注目すべきは43%が「広告表示に適しているな否かはブランドによる」と回答したことです。広告掲載先のコンテンツ内容が「ポジティブかネガティブか」に加え、表示される広告の種類(広告主の業種やブランド)によっても消費者の受容性が変化することがわかりました。
広告主に求められること
キーワードによる広告ブロックが浸透している米国では、新型コロナウイルスに対する一律的なキーワードブロッキングが広告のリーチを過剰に制限し、パブリッシャーの収益も圧迫するという悪循環が発生している、と報じられています。
しかし、今回のアンケート調査から浮き彫りになったように、広告出稿における新型コロナウィルス関連コンテンツの制限・排除は、一部の広告主・業界にとっては重要なことですが、すべての広告主にとって望ましいか否かは、まだまだ検討の余地がありそうです。
広告主が取るべきアクションは、「新型コロナウイルス関連コンテンツが本当に自社ブランドを棄損するリスクなのか」を冷静に見極めることです。ブランドリスクとなることを過度に恐れ、十把一絡げにブロックすることの意味と是非を、一度立ち止まって考える必要があります。
さらに詳しい結果と、広告主が取るべきアクションについてはレポートをダウンロードしてご確認ください。