IAS : 高野様のデジタル広告におけるご経験についてお聞かせください。
2021年のPublicis Groupe入社までは、テレビ中心の広告代理店に勤務しており、本当にテレビ中心でしたので、入社当時、デジタルの経験が全くありませんでした。テレビの世界にはアドベリフィケーションはありませんので、「ボットが広告をクリックするって、どういうこと!」と(笑)。デジタル広告の仕組みを理解するのが大変でした。
ちょうど、Media Directorの末政さんが入社されるタイミングだったので、入社直後からデジタル広告にとても詳しい、自分と真逆の経験をされてきた人と一緒にお仕事をすることができて、物凄いスピードで学ぶことができました。テレビ広告とデジタル広告は、何一つ同じではないので、テレビ脳とデジタル脳を常に切り替えながら業務に取り組んでいます。
IAS : Media Analyst Coordinator として、今担当されている業務を教えてください。
タグ戦略とタグの設計を担当をしています。
クライアントのデジタルレポートの根幹となるのが、タグ戦略です。そのために第三者配信タグ(3PAS)の設計がとても重要なのですが、その設計には「タクソノミー(Taxonomy:分類、階層構造)」が大きな役割を果たしています。
私が担当しているクライアントは巨大なグローバル企業で、全てのキャンペーン情報をタクソノミーの文字列で暗号化しています。ブランド、キャンペーンネーム、媒体、クリエイティブ、プレースメントネーム、ターゲティングなど、まさに全ての情報です。その文字列が、グローバルで管理され、全てのアドプラットフォームに設定されたタクソノミーを全てコンパイルすると、MMM(Marketing-Mix-Modeling, マーケティング ミックス モデリング)を用いて、どのメディアが何に影響を与えるのか、メディアの相関関係を解析することができます。例えば、テレビCMが検索に影響を及ぼしている、YouTubeでの広告が購買に影響を及ぼしているという具合にです。
ただ、タクソノミーを1つでも間違えてしまうと、一気に何もできなくなってしまいます。間違っていないかどうか、グローバルで監査が入るほど、厳密に管理されています。私が入社してからの2年間は、この「タクソノミー」との戦いだったと言えるかもしれません。
IAS : 業務で大変だったこと、乗り越えられたことについて、お聞かせいただけますか?
やはり、タクソノミーを使ったタグ発行を軌道に乗せるまでが、とても大変でした。
最初はタクソノミーのコードがどう設計されているのかを読み取る必要がありましたし、さまざまなことのオーナーシップの確認にも時間がかかりました。例えば、CM360設定のオーナーシップを持っているのがどこの国なのか、IASの日本マーケットのダッシュボードを管理すべきはどこの国なのか、と。結局、明らかにするまで4ヶ月くらいかかってしまい、それまでIASとの連携ができなかったので、IASの担当の方もきっと困っていたと思います(笑)。
日本のマーケットの話なのに、シンガポールと話さないといけなかったり、でも、日本の特殊性がグローバルには伝わりにくいので、シンガポールも日本の事情を理解できず、なかなか進まない。そんな状況の中で、Media Directorの末政さんと2人で「私たちがIAS連携のオーナーシップを持って進めよう!」と腹を括ってリードし始めてから、状況が変わり始めました。
IAS : IASに期待すること、リクエストがあればぜひ教えてください
キャンペーン設定などを理解するのが大変でしたが、千葉さん(IAS Japanのカスタマーサクセスチーム)に分かりやすくレクチャーいただき、ここ最近で良く理解できるようになりました。オートマッピングの仕組みを理解するのも結構時間がかかっていたのですが、この媒体はどうなんだろう、ソーシャルメディアはどうなんだろう、とふんわり分かっていた感じだったのが、詳細までクリアになりました。
現在、マネージドメディアサービスで広告運用しているクライアントは20社以上あり、インハウスでアドオペレーションをしてるクライアントさんもあります。日本のマーケットは日本固有の媒体やソリューションが多いので、媒体毎に計測出来る/出来ないを確認するのが大変です。媒体社の広告メニューやタグの受け入れ形式もどんどん更新されていくので、IASさんには、媒体社さんとも連携して、IASの計測可否を頻繁にアップデートして共有いただけると助かります
IAS : 仕事の忙しさ、緊張からリラックスするため、何か行ってらっしゃることはありますか?
私は、猫のりんちゃんに癒されています。
在宅の時は会議にも参加して、末政さんにニャアと声をかけたり、もうチームメンバーですね!
高野様、貴重なお話をありがとうございました!
長く従事されたテレビ広告とは「何ひとつ同じことがない」という初めてのデジタル広告業界で、わずか2年でグローバルクライアントのタクソノミーのような緻密かつ厳密な業務をリードし、成果と信頼を勝ち得ている高野様。私たちIASは今後も、高野様と末政様のプロフェッショナルチームが支えるグローバルクライアント様のために、強力にサポートさせていただきます。