多岐にわたる事業を展開する三井不動産グループ。グループ横断のブランド戦略を担う広報部は2021年、デジタル広告の品質管理・透明性確保のためにIASのアドベリフィケーションツールを導入しました。以来5年間、全グループ・全代理店への展開を推進してきた広報部の王氏、蓮沼氏に、導入の経緯や実際の効果、今後の展望について話をお聞きしました。
目的
・デジタル広告の出稿品質を検証し、透明性を確保したい
・グループ横断のブランドセーフティを確保し、ブランド毀損リスクを防止したい
施策
・2021年にIASのアドベリフィケーションツールを導入
・全グループ会社・全キャンペーン・全代理店へのツール導入を徹底し、アドベリガイドラインの策定や検証データに応じたドメインリスト精査なども定期的に実施
・グループ会社・事業部向けに説明会・勉強会を複数回実施し、関係者すべての理解浸透を推進
効果
・IAS計測の全面導入以降、ブランド毀損リスクが顕著に減少
・グループ各社のデジタル広告出稿の傾向と品質を、計測レポートから横断的に把握できるように
・ブランドセーフティ・ビューアビリティ・不正インプレッションなどの品質指標を活用し、無駄の削減と安全性の担保、効率的なPDCAを実現
IAS まずはお二人のご担当を教えてください。
王氏 今まで、オウンドメディアの運用や広告出稿、アドベリツールの運用・管理を担当していました。2026年の4月からは、CM制作と出稿も担当し、「三井のすずちゃん」シリーズにも関わっています。
蓮沼氏 スポーツ協賛に関する発信業務を中心に担当しており、そのなかでアドベリツールも活用しています。また私も、CM制作やデジタル出稿も担当しています。
「デジタル広告出稿の品質と実績を確認したい」— 導入の背景
三井不動産グループでは2021年、グループ全体を通してデジタル広告出稿の比率が急速に高まるなか、IASの計測ソリューションを導入しました。当時の担当者からバトンを受け継いだ王氏と蓮沼氏は、導入の経緯をこう振り返ります。
IAS 三井不動産グループ様では、2021年から弊社の計測を活用いただいており、すでに5年が経ちます。
当時の導入のきっかけを教えていただけますか?
王氏 当時、三井不動産グループではデジタル広告の出稿割合がどんどん増えていくなかで、グループ全体の出稿を取りまとめる広報部の立場として、デジタル広告出稿の「品質確保」と「実績確認」が急務になっていました。企業として適正な広告出稿ができているかを自分たちで確認できる基盤が必要で、それが導入のきっかけでした。
三井不動産グループでは、常にブランド戦略を考え続けており、ロゴのガイドラインや社名の統一など、グループとしての一体感あるブランドを守るための取り組みを長年積み重ねてきました。「ここも三井不動産です」「こんなこともやっています」というメッセージを発信をしていく上で、デジタル広告出稿においてもブランドイメージの向上やブランド毀損のリスクから守りたいという思いが導入の根底にありました。
広報部 ブランド・マネジメントグループ 主任
王 リョウ氏
「インプレッション=見られている」という前提が崩れた
実際にIAS計測を導入し、これまで目にしなかったさまざまな計測データを確認すると、そこには大きな気づきがありました。
IAS テスト計測から実導入へと非常にスムーズに進まれました。計測データを見て感じたことなどはありますか?
蓮沼氏 それまでは広告会社からのレポートのみで広告成果を判断しており、当時の担当者は「これだけインプレッションがあるから、見られているはず」という安心感を持っていたそうです。でも、実際にはIASさんとのテスト計測で、ビューアビリティが我々の想定を大きく下回るケースも散見されて驚いた、と。
私自身、着任当初、広告会社からいただくレポートだけで判断していました。でも、アドベリへの理解が進むにつれて、インプレッション等の数字だけではなく、ビューアビリティの確保や、ブランド毀損を防いだ出稿ができているかという観点を持ちながら、広告出稿計画を立てることが重要だと感じるようになりました。
IAS アドベリフィケーションの導入を決める際には何社か検討されたと思うのですが、IASを選んでいただいた理由を教えてください。
王氏 アドベリフィケーションのパートナーを決める際には、金額だけでなく、サービス内容やレポーティングの質、導入後の対応などを含めて総合的に評価・判断し、その結果、IASさんに決めました。これはアドベリフィケーションに限らず、弊社がパートナーを選定する際の基本的な考え方でもあるのですが、まず金額が大きな判断軸になり、その上で、提供されるソリューション、サービスのレベルをあわせて評価し、それら全てを踏まえて判断しています。私自身は担当になってからまだ日が浅いですが、IASのチームには非常に密な連携と迅速な対応をいただいていると感じています。
IAS ありがとうございます!そう言っていただけると、とても嬉しいです。
ブランドセーフティを「死守」する
実際の炎上リスクをどう防いだか
ブランドを大事にする三井不動産グループにとって、デジタル広告出稿でのブランド毀損のリスク回避は重要な対策です。
蓮沼氏 たとえば、ある社会的な出来事が起こっている状況で、そのニュース記事に隣接して弊社の広告が出てしまうと、我々のブランドが炎上するリスクもあり、ブランドの好感度もどんどん下がってしまいます。広報部としては、それをなんとしても防ぎたいという気持ちが強くあります。実際に、IAS導入の効果を実感した出来事がありました。かなり前の話ですが、グループ会社で起こった事象がニュースになった際、弊社の広告が該当する記事コンテンツに配信されたことがありました。なぜ当該記事に広告が配信されたのか詳細を調べてみると、たまたまその広告キャンペーンを担当する代理店だけが、IAS計測を未導入だったことが判明しました。
IAS 弊社が提供する、コンテキスト(記事の文脈や感情)に応じた広告ブロックの機能のご活用ですね。
王氏 それ以降、全キャンペーンでの導入を徹底してからは、同様の事象は聞かなくなりました。とてもありがたいです。
広報部 ブランド・マネジメントグループ 業務副主任
蓮沼 美帆氏
蓮沼氏 ブランド毀損リスクだけではなく、無駄なところに出稿していないかをチェックするために、ビューアビリティもしっかり確保していく重要性も感じています。数字としてインプレッションが発生していても、実際に見られていなければ意味がありませんので。新しい出稿先でも、想定以上に高いビューアビリティが確保できるケースもあれば、逆に思ったほどのビューアビリティが確保できないというケースもあります。
それらの数字は数字として、事実としてちゃんと見ていきつつ、それだけで評価するというよりは「改善していくための重要な参考データ」として活用しています。数字を見ながらPDCAを回しつつ、次の施策に活かしていくという運用です。
いろいろなデータが取れますが、ブランド毀損リスクだけは確実に防ぎたいということは、今でも変わらない一番重要なポイントです。
グループ内でのブランド毀損リスクの理解が浸透
IAS計測導入の意義を「まず理解してから」の原則
グループ会社・事業部・広告代理店が多岐にわたる三井不動産グループで、アドベリフィケーションの重要性を隅々まで浸透させることは容易ではありません。
IAS 三井不動産グループ様では、広報部だけでなく全てのグループ会社や事業部でデジタル広告の品質計測を行っています。現在のアドベリフィケーションの運用体制を教えてください。
蓮沼氏 グループ会社や各事業部の皆さまには、まず「デジタル広告を出稿する際は必ず広報部にご連絡をいただく」というガイドラインを策定、発信しています。ご連絡をいただいたら、担当代理店にこれまでアドベリ計測ツールを扱ったことがあるかを確認し、未導入の場合は、IASさんと一緒に説明し、導入をするという流れになっています。
王氏 ガイドラインで定めているので、割と皆さんすんなりと受け入れてくださいます。特に各本部で取りまとめをしている人たちは、デジタル広告を出稿する上でのリスクや、アドベリ計測を導入することの意義について、理解が深まっていると思います。一方で、広告出稿を直接担当しない各部門の担当者まで全員が理解できているかというと、正直、少し不安なところはあります。
IAS 日本でのアドベリフィケーションの認知と浸透度は年を重ねるごとに確実に増加していますが、それでも、必要性への理解はまだこれからだと感じています。
蓮沼氏 各事業部やグループ会社の皆さんには、まず「アドベリフィケーションツールがなぜ必要か」をきちんと納得、理解していただき、活用していただきたいと思っています。地道な草の根活動ですが、「こんなことがあるとブランド毀損につながりますよ」と説明すると、皆さん「それは導入しなきゃいけないですね」と理解してくださいます。
ただ、担当者が異動する際にも、その知識と知見が十分に引き継がれ、新しい担当者によるデジタル広告出稿も安全に行われる、というのがこれからの課題です。
また今後は、広告会社から報告をいただく際には、アドベリの結果も含めて、細かく各事業部の担当者にフィードバックされるような体制もパッケージ化して作っていきたいと考えています。
広報部が全ての事業部のデジタル広告出稿を細かくコントロールするのは仕組み的に難しい面がありますが、広告パフォーマンスと品質データを皆で確認しあう状況が、デジタル広告出稿に関わる人たちの責任感を作り出していると感じています。
レポートがグループの「全体像」を映し出す — そして次の一手へ
5年間の運用を経て、IASのレポートは単なる品質検証ツールを超えた価値を生み出しつつあります。
王氏 レポートを見ることで、グループ各社のデジタル出稿の傾向が横断的に把握できるようになりました。各社から個別に報告を求めなくても、IASのレポートを見れば「このグループ会社が今年デジタルに力を入れている」ということが自然に分かります。
三井不動産グループにはブランド戦略委員会というグループ全体のブランド施策を取りまとめる会議体があり、各部門の担当者が参加しています。例えば、CM制作などの施策についてもそこで審議を行っています。IASのレポートから得られる情報が、今後ブランド戦略会議での議論にも活かされると考えています。
IAS レポートを見て全体像を把握したうえで、複数のチャネルを組み合わせた広告出稿を行われているんですね。
王氏 そうですね。広告施策については、現在もさまざまなチャネルを組み合わせながら検討を進めています。新しい取り組みを行っているなかで、それを十分に伝えるために、どのように発信していくべきかを常に考えています。
蓮沼氏 イベントを実施する機会も多く、集客の面ではデジタル広告を活用していますが、SNSだけでなく、人が通る場所へのOOH(屋外広告)などを組み合わせた方が効果が高いこともあります。テレビ出稿は依然として多いですが、以前にも増して、デジタル広告の割合が高まっており、YouTubeをどの程度活用するかや、最近ではXでの出稿も開始し、どう広げていくかをを試行錯誤しているところです。
今後IASに期待すること
今後の取り組みにおいては、継続的な理解の継承と促進も重要なテーマとなっています。
王氏 弊社では定期的なジョブローテーションで担当者が変わることも多いため、IASの皆さんには継続的にレクチャーしていただきたいと思っています。担当が変わると、どうしても知識にばらつきが出てしまうので、今後もそういった部分を補っていただけると助かります。
蓮沼氏 広告会社の方にも参加いただく形で、合同の勉強会を開催したいと考えています。広告会社の方とIASの方が直接やり取りできることで、細かい仕様や運用面の理解が深められる場にできればと思っています。
「見えない広告リスク」を可視化し、グループ全体のブランドを守る広報部の取り組みが、三井不動産グループのブランドを守る重要な役割を果たしています。デジタル広告における品質管理と真摯に向き合ってこられた経験や知見は、今後の施策検討においても重要な基盤となるでしょう。こうした取り組みにおいて、IASもパートナーとして、さらなるブランド価値創出に貢献できれば幸いです。
貴重なお話をありがとうございました!
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