モバイルシフトに後れを取っていた広告検証
IASが最近行った調査では、消費者の興味がテレビからモバイルへとシフトしている姿が鮮明になりました。この調査で示されたデータは、最近の消費者のモバイルシフトを示す一つの証拠にすぎません。2017年、広告主はモバイル広告費に5838億ドルを費やし、インターネット広告の70.3%を占める最大のチャンネルとなりました(e-Marketer 調べ)。
消費者の鮮明なモバイルシフトとそれに伴う広告費のモバイルシフトに対し、モバイル端末で発生するインプレッションの第三社による検証は後れを取っており、業界にとって課題となっています。広告主が求めるモバイルでのビューアビリティの要求基準と、検証ベンダーが実際にそれを計測できる能力のギャップは、モバイル広告支出の成長の障害となっています。広告主は100%の計測可能な在庫を求めていますが、一部のプラットフォームでは5%から10%しか計測できないのです。
モバイル広告費の驚異的な成長にもかかわらず、大規模な検証ができないことがネックとなり、モバイル広告はその潜在能力を十分に発揮できていませんでした。検証ベンダーが提供するソリューションでは、アプリ事業者とSSPの双方がSKDを実装する必要があります。しかし、検証ベンダーごとに異なるSDKを実装しようとすると、アプリ容量が大きくなってしまいユーザーエクスペリエンスを損なう可能性がある上に、メンテナンスにもリソースを割く必要があります。アプリ事業者にとっても、SSPにとっても望ましい状況とは言えません。こうした問題から、広告主が求める水準でのアプリ内広告の計測・検証能力は非常に困難でした。
OM SDK無償公開と、これまでまでの道のり
このような課題を解決すべく、IAB Tech Labは本日、Open Measurement SDKのリリースを発表しました。OM SDKは、IAB Tech Labが提供する広告のビューアビリティ計測用のSDKで、複数のベンダーのビューアビリティー計測を1つのSDKで管理・運用できます。これは2017年に発表された、IASが独自に開発したモバイルアプリ計測用のSDKをIABに無償提供しオープンソース化するというニュースの続報で、βテストを経てOM SDKが正式にリリースされたことを意味します。
IAB Tech Labのシニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのDennis Buchheimは「Open Measurement SDKはモバイルアプリ広告に透明性と一貫性をもたらす」とコメントしています。
アプリ事業者やSSPは複数のSDKを実装する必要がなくなり、広告主は任意の計測ベンダーで大規模な広告とメディア品質の計測・検証が可能になります。
業界横断の取り組み
IAB Tech Labは2017年1月より、業界の主要関係者によるイニシアチブを引き継ぎ、モバイルアプリ内広告計測の課題解決の取り組みはOpen Measurement Working Groupに移管されました。IAB Tech Lab 内に設置されたこのワーキンググループは、IAS、comScore、DoubleVerify、Google、Moat、Pandora、そしてIAB Tech Lab が協力して、より競争力のあるスケーラブルなデジタル広告ソリューションを開発するための技術開発と標準化を目指して設立されました。モバイルアプリ パブリッシャーがすべてのアドベリフィケーション ベンダーと広告主に対して必要な計測データを簡単に提供できることを目指して活動を続けています。
Flipboard、Google、InMobi、Pandora、Tapjoyらはいち早くこの取り組みに賛同し、ベータ期間中に実際にOM SDKを実装しテストを実施しました。Pandoraは本日、OM SDKの完全実装が完了したことを発表しました。これらアーリーアダプターは、ローバルな本格リリースから数か月以内に、マーケットで最初にSDKをサポートすることになります。彼らの、OM SDK経由で測定された広告の売買基準を業界横断で標準化するという取り組みをはじめとしたさまざまな努力により、モバイルの運用型広告の売買と結果予測をより簡単にしてくれるでしょう。徹底的なテストを経て、SDKはついに業界全体で採用できる計測ソリューションとなったのです。
IABは、SDKの実装ベンダーのOM SDKへの移行をなるべく早く実施するように推奨しており、2018年9月30日までという具体的な推奨ターゲットを提示しています。IASと、OMWG Commit Groupに所属する他の計測ベンダーはともに、Open Measruementの標準化を支持しており、独自の検証SDKを廃止することに合意しています。また、移行期間中、IASは他の検証ベンダーと同様に、現時点で利用可能な計測手段が中断されることのないようサポートを提供していきます。
What’s next?
OM SDKは一般公開され、だれもが自由に利用することができます。OM SDKの実装を検討しているアプリ事業者やSSP、ネットワーク事業者の方は、IAB Tech Labの窓口 omsdksupport@iabtechlab.com にお問い合わせください。
IASのモバイルアプリ内広告のビューアビリティ計測について詳しく知りたい方は、貴社のIAS担当者もしくはお問い合わせ窓口よりお気軽にご連絡ください。