2019年7月に、私たちIASは脳の活動状況を測定するという手法を用いて、デジタル広告が表示されるコンテンツ環境がどのように広告やブランドに影響するのかを調査しました。「脳科学から見るブランド認知~広告閲覧環境にけるハロー効果とブランド好感度への影響に関する調査レポート~」と題したこのレポートでは、コンテンツ環境の品質が高い場合と低い場合とでそれぞれ好感度、エンゲージメント意向、記憶への残りやすさがどのように変化するのかを調査しました。そして高品質なコンテンツ環境ではそのいずれもが有意にポジティブな影響を受けることが分かりました。
このレポートを読んでいただいた方ならば思ったはずです。
「ブランドやコンテンツの関連性といった要素も影響するのでは?」
「好感度が上がるのはわかったけれど、ネガティブな影響はどの程度あるの?」
IASのリサーチチームも同じことを考えました。また、IAS Japanチームとしては「アメリカはそうかもしれない。でも日本の消費者は?」という点も気になりました。そこで私たちは「波紋効果~コンテンツの品質が消費者の広告認知に与える影響に関する調査レポート」と題した追加調査を実施し、前回のレポート後に新たに生じた疑問を解き明かすことにしました。今回は、消費者が品質の異なるコンテンツ環境でデジタル広告を閲覧した際に、ブランドパーセプションがどう変化するのか、世界8か国でアンケート調査を実施しました。
この調査結果をまとめたレポートから、重要なポイントを抜粋してお伝えします。
コンテンツ環境の品質は重要!(とても!)
82% ― 「広告が高品質なコンテンツに隣接して表示されることは重要だ」と回答した人の割合です。「広告が自分に関連性のあるコンテンツに表示されることは重要だ」と回答した人をわずかに上回りました。消費者は、広告がどんな環境で表示されているのか、広告主が思っている以上に気にしているのです。
さらに、Web広告が高品質なコンテンツ環境で表示された場合と、低品質な環境で表示された場合では、ブランドに対するエンゲージメント意向に20ポイントの差があることが分かりました。前回の調査でもコンテンツの品質がエンゲージメントに影響することが分かっていましたが、今回の調査ではマイナスの影響も明らかになりました。低品質なコンテンツで広告を閲覧した場合は好感度が下がると回答した人も34%もいたのです。
自分に関連のある広告が表示されることと、高品質なコンテンツで表示されることは、消費者にとって同じくらい重要です。
低品質なコンテンツ環境に広告が表示されることは大きなマイナス
今回の調査では、低品質なコンテンツに表示された広告を鬱陶しく感じると回答した消費者はおよそ9割に上りました。それだけでなく、34%が好感度が下がると回答したのです。
さらにショッキングなのは、そのような低品質なコンテンツ環境で広告を見た場合、そのブランドの使用を取り止めることを検討すると回答した人が65%がもいたことです。好感度が下がるといったエモーショナルな影響だけでなく、購入を止める、あるいは既に使用している商品の使用を取り止めるというのは、私たちが予想していた以上に強力なネガティブなインパクトです。
「広告がどこに表示されるかを管理する責任は広告主にある」
もう一つ、多くのマーケティング担当者やブランド責任者にとって見過ごすことのできない結果があります。それは、企業やブランドの広告がどんなコンテンツ環境に表示されるかを管理するのは広告主の責任だと考える消費者が66%もいる、ということです。
デジタルマーケティングに携わる人なら、複雑な経路をたどって瞬時にリアルタイムで配信されているWeb広告がどんなコンテンツ環境に配信されるかを完全にコントロールすることが非常に難しいことを理解しているでしょう。しかし消費者の考えはとてもシンプルです。多くの消費者が、広告がどんなコンテンツ環境に表示されるかを管理するのは、広告主の責任だと考えています。
レポートをダウンロードしてより詳細な調査結果をご確認ください
「波紋効果~コンテンツの品質が消費者の広告認知に与える影響に関する調査レポート」は無料でダウンロードいただけます。以下のフォームに必要項目を入力すると、ご登録いただいたメールアドレス宛にダウンロード用のURLリンクをお送りいたします。