アドフラウドは、常にデジタル広告の影に潜んでいます。世界広告主連盟(WFA)によると、アドフラウドは、2025年までに世界で500億ドル(7.4兆円)を超え、犯罪組織にとって、麻薬取引に次ぐ第二の資金源になるだろうと予測しています。
ボットからピクセルスタッフィング、悪意のあるアプリなど、アドフラウドは常に形を変え、進化しながら私たちの広告費を狙っています。
IASの調査レポート「メディアクオリティレポート 第18版」では、アドフラウド対策を行っていないキャンペーンにおけるアドフラウド率は世界平均10.7%(2022年下半期)。デジタル広告市場の10~30%がアドフラウドの被害を受けているであろうというWFAの予測と同じく、広告費の1割強がアドフラウドに無駄に流れている状況を明らかにしました。
一方で、アドフラウド対策を行った場合のフラウド率の世界平均は1.4%で、対策を行えば、10分の1に減らすことができることも調査から分かっています。
本記事で、アドフラウドの基本をおさらいしましょう。
アドフラウドとは?
アドフラウド(広告詐欺)とは、広告主から不正に広告費を搾取するために、オンライン広告のクリック数やインプレッション数を人為的に水増しする悪意のある行為です。
IASではアドフラウドを「広告を適切な人に適切なタイミングで適切な場所に配信することを故意に妨害する行為」と定義しています。デジタル広告詐欺による国内被害額は1300億円ともいわれ、広告費と機会創出に対する甚大な被害に業界関係者の意識が高まっています。
アドフラウドの真の被害
アドフラウドの被害は、広告費だけに止まらず、企業や広告業界全体に様々な悪影響を及ぼします。
- マーケティング予算の不正な搾取:ブランドや商品の認知向上、新規会員獲得や商品購入などの目的でデジタル広告に資金を投じたとしても、フラウド業者が仕掛けるインプレッションやクリック詐欺に引っかかってしまうと、広告は消費者に届かず、投じた広告費は全く無駄になります。国内被害額は1300億円とも言われ、人間が発生させたものではない、まったく見られていない誰も見ていない偽トラフィックや偽インプレッションに巨額の広告費が費やされています。
- ブランド価値の毀損:違法サイトや不快なコンテンツを提供するサイトなどで広告が表示されることによって、ブランド価値の毀損が起こっています。自社の広告が違法サイトで表示されていることに気づかず、社外からの指摘によって発覚することもあります。
- デジタル広告の信頼性を毀損:企業がフラウド業者によって広告収入を掠め取られることにより、デジタルマーケティング業界全体の信頼性を毀損します。これにより、企業はデジタルに投下するマーケティング費用や広告予算を正当化することが困難になり、パブリッシャーは広告在庫を販売することが難しくなります。
アドフラウドの種類
フラウド業者はボットやその他の高度な方法を介して、無効なトラフィック、クリック、インプレッションで広告プラットフォームを欺き、広告が意図した正当なユーザーに配信されるのを阻害します。人間が閲覧していないインプレッションに対して広告主が広告費を支払っていることにより、フラウド業者は多額の金銭的利益を得ています。
アドフラウドのほんの一例です。
- ドメイン偽装(ドメイン・スプーフィング):ドメイン偽装は、悪質な業者が偽サイトのドメインを偽装して優良サイトに成りすますことを言います。質の低い広告枠を、あたかも高品質な優良サイトのものとして取引して、広告費を発生させます。偽サイトには、本物らしく見せかけた偽サイト、広告だけで構成された広告費を発生させるためだけのサイト、著作権侵害サイトなどがあります。
- 人間ではないトラフィック:ボットは、自動化されたタスクを実行するコンピュータプログラムです。非人間的トラフィックには、ボットによって生成されたトラフィックと、人為的に強制された、またはインセンティブを与えられた(クリックファームなどによる)人間のトラフィックが含まれます。ボットのトラフィックは、動画の視聴数やフォロワー数、広告のクリック率をつり上げるためによく使用されます。
- クリック詐欺:オンライン広告詐欺の一種で、悪質な行為者やボットが、ウェブサイトに収益をもたらしたり、広告主から収益を流出させたりする目的で、自動・手動を問わず繰り返し広告をクリックすることで発生します。
- インプレッション詐欺:広告表示回数を増やすために、偽のインプレッションを生成します。この種の詐欺は、多くの場合広告を自動的に読み込み、偽のインプレッションを生成するボットを使用して行われています。
新たに浮上した「MFAサイト」問題
そして、最近の新たな課題が「Made for Advertising」、いわゆるMFAサイトです。
MFAサイトとは、広告を掲載するためだけに作成された低品質なコンテンツ(スパムサイトやアドファームなど)を含むウェブページのことで、ビューアビリティなどの従来の品質指標に照らしてもパフォーマンスが高くなるように最適化されています。しかし、このようなサイトに広告費を投下しても、コンバージョンやブランドリフトなどの価値ある成果は得られません。
MFAサイトは厳密にはアドフラウドとは異なるという認識がありますが、広告費を無意味なコンテンツで浪費させる点において、アドフラウドと同様にマーケターにとって広告掲載を避けるべきサイトです。
▶︎IASのMFA対策についてはこちらをご覧ください。
アドフラウドの対策
デジタル広告には大きな広告費が投じられている一方で監視の目が少なく、また収益性が高いことから、犯罪組織にとって魅力的な市場になっています。逆に言えば、監視の目を増やすこと、高度なモニタリングと透明性の確保がアドフラウド拡大の抑止力になるのです。
アドフラウド対策の最初のステップは監視。つまり、計測です。
- 計測:アドフラウドの被害状況を確認
アドフラウドが計測できるソリューションを使用して、自社デジタル広告が被害にあっていないかどうか、きちんと実在する人間に配信されているか現状を確認しましょう。 - 計測+ブロッキング:アドフラウドの広告表示をブロックする
計測をして現状把握をしたら、広告表示をしないために、アドフラウドをブロックしましょう。
- アドフラウド対策ソリューションで広告をブロックする
- プログラマティック広告の場合、入札前設定でアドフラウドを除外する
計測と対策をうまく取り入れて、アドフラウドを削減し、広告費を取り戻しましょう。
高い精度で検出を行うIASのアドフラウド対策ソリューション
アドフラウド対策ソリューションのほとんどが自動チェックのみに頼ってアドフラウドを検出しているのに対し、IASでは独自のアプローチで、正確な検出とフラウドの防止を実現します。
- 自動ルールチェック機能を使用したルールベースの検出で、異常な動作パターンを特定
- さらにAI/機械学習により、ビッグデータに基づいて隠れた異常パターンを検出
- IAS Threat Labによるマルウェア解析とリバースエンジニアリングにより、新たな脅威を発見
- IAS Threat Labによるマルウェア分析とリバースエンジニアリングを用いて、新しい脅威の発見に注力
自動化されたルールベースの検出、AIと機械学習のパワーをIAS Threat Labのフィルタリング能力と組み合わせることで、IASのアドフラウド対策ソリューションは比類ないスケールでアドフラウドを検知し、広告費の無駄を省きます。
アドフラウドにお金が流れているかもしれない?
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