行動ターゲティングはデジタルマーケティングを活用するうえで欠かせないアプローチです。しかし、洗練されたターゲティング能力の前に、コンテンツが持つ文脈の重要性はしばし見過ごされてきました。
2017年に、広告が悪意を持った低品質なコンテンツに配信されてしまうという事実がスキャンダラスな論争を巻き起こしたのを受け、対応するテクノロジーと本格的なブランドセーフティ戦略が急速に発展しました。しかし、不適切なコンテンツを避けることはほんの始まりにすぎません。安全だけどブランドの文脈にとって不適当なコンテンツが、ブランド価値に悪影響を及ぼす可能性があるからです。広告主は、自社のブランドに適した環境でブランドメッセージを届けられるよう、独自にブランドリスクの許容レベルを設定し、よりきめ細かく広告配信環境を管理することを求めています。
Integral Ad Science (IAS) は、脳神経学を活用した市場調査の世界的なリーダーであるNeuro-Insightと共同で、広告が表示されるコンテンツ環境が広告認知に与える影響についてのリサーチを実施しました。2019年7月16日に米国で発表された調査レポートによると、高品質なモバイルサイトに表示されるディスプレイ広告は、低品質のサイトで表示される広告よりも好感度が高いという結果が示されました。さらに、高品質なコンテンツと並んで広告を配置することで、より高いエンゲージメントと記憶定着が期待でき、キャンペーンを想起するオーディエンスを増やす可能性が高いこともわかりました。
今回の調査では、被験者に30分間モバイルサイトを閲覧してもらい、4つの反応値(好感度、エンゲージメント、感情の強さ、および長期記憶)について、脳の活動を計測しました。IASのブランドリスクスコアに基づいて選定された高品質な4つのサイトと、低品質な4つのサイトに自動車、CPG、金融サービス、テクノロジー、そして小売の5つの業界の主要ブランドから選ばれた3つの広告を配置。被験者は特定の順序で各サイトとサイトに配置されている広告をスマートフォンで閲覧しました。
今回の調査からわかったこと:
同じ広告、異なるリアクション
高品質なサイト上に配信された広告は、低品質なコンテンツに配信された同じ広告と比較して好感度が74%も高まることがわかりました。さらに、低品質なサイトに配信された広告に対して消費者の好感度が下がるだけでなく、反感を覚えることもわかりました。
消費者は、好ましくないコンテンツの隣に表示される広告を見かけたときに「広告主が意図的にそこに広告を表示させている」と考える傾向があることはこれまでも指摘されてきました。今回の調査で、広告がどんなコンテンツの隣に表示されるかは、ブランドセーフティにとってより重大な意味を持つことになりました。そうでなくてもすでに米国のマーケターの80%が、ブランド棄損リスクのあるメディアパートナーへの広告投資を引き下げる計画があると回答しているのです。
高品質のコンテンツはエンゲージメントを高める
高品質なサイトに表示される広告は、消費者からのより積極的な関心を集めることができるかもしれません。今回の調査では、高品質なコンテンツ環境は、低品質なコンテンツ環境と比較してエンゲージメントが20%も高まることが分かりました。
高いエンゲージメントを獲得できるコンテンツとともに広告が表示されることは、ブランド適合性(Brand Suitability)を重視する広告主にとっても重要です。米国のマーケターの半数以上が、ブランドリスクに対する対策を積極的に講じているメディアパートナーに対する広告投資を増やすだろうと回答しています。
高品質のコンテンツは記憶に残りやすい
短期記憶から長期記憶への移行は、消費者の意思決定や購入意向に影響し、ブランドにとってポジティブなインパクトをもたらします。今回の調査で、高品質のサイトは30%長期記憶に残りやすいとの結果が得られました。高品質なコンテンツが持つ記憶への影響力を活用すれば、ブランド想起にもプラスの効果が期待できます。
「脳科学から見るブランド認知~広告閲覧環境におけるハロー効果とブランド好感度への影響に関する調査レポート」をダウンロードください。レポートでは、直近のマーケティングトレンドやブランドセーフティに関するインサイト、詳細な調査結果をご確認いただけます。