2018年11月から12月にかけて、IASではアメリカとイギリスのデジタル業界で活躍するプロフェッショナルを対象とした意識調査を行いました。Industry Pulseと題された調査レポートでは、900名以上から寄せられた回答をもとに、ブランド、広告主、パブリッシャーそれぞれの立ち位置から見たデジタル広告業界の「見立て」を知ることができます。
IAS Insider JapanではこのIndustry Pulseに注目して、前後編の2回に渡ってデジタルマーケティングの最新トレンドを読み解いていきます。
後編では、アメリカとイギリス両方のIndustry Pulseが予測する2019年の最も大きな業界トレンド「透明性」について詳しく見ていきます。
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同じ“Transparency Trends”といっても、アメリカとイギリスでは若干状況が異なっています。それぞれトレンド詳細予想のトップ3を見てみると、以下のようになっています。
アメリカ:
1位 「デジタル広告のROIアトリビューションへの注目高まる」
2位「ソーシャルメディアのブランドセーフティ」
3位「ソーシャルメディアプラットフォームの透明性向上」
イギリス:
1位「透明性がデジタル広告投資に影響を及ぼす」
2位「データ保護規制はビジネスに好影響」
3位「ソーシャルメディアプラットフォームの透明性向上」
アメリカで1位となったROIアトリビューションは、イギリスで1位のデジタル広告の透明性があってこそ実現できるものです。広告費で世界トップをいく米国はやはりこの辺の意識が非常に進んでいて、イギリスはその少し後を追いかけているという状況が見えてきます。
アメリカではアドフラウドや低いビューアビリティ、ブランド毀損リスクなどのマイナスを排除するアドベリフィケーションはもはや当たり前です。しかし、マイナスを排除してみたところ見えてきたのは、ゼロに戻した先にどうやってさらにプラスに持っていくか、という新たな課題でした。アメリカの広告主が「キャンペーン露出をROIに紐づけて評価できない」ことを、デジタル広告に対する一番の脅威と回答したことはは、マイナスを排除した次のステップで広告主が何を求めるのかを示してくれています。
ソーシャルメディアに関しては、これまで”walled garden”などと称されるように、詳細なデータを開示したり、第三者による計測を積極的に受け入れてきませんでした。ソーシャルメディアに対する投資比率が高まるにつれて、透明性を求める声も高まってきています。
IASでは、こうしたデジタル業界の声に応える次世代のアドベリフィケーション・ソリューションの開発を進めてきました。そしてこのたび、デジタル広告のキャンペーン成果に対する貢献度を計測し、キャンペーン全体の効果を最大化するための打ち手を具体的に示す新しいソリューションをリリースしました。
デジタル広告のゼロをプラスにする最新のソリューション「オンライン コンバージョン リフト」について、詳しくはこちらをご覧ください。
最後に、Industry Pulseに回答を寄せたデジタル広告関係者が注目している、2019年以降の動向を見てみましょう。
”The Future”と題されたIndustry Pulseの最終章では、デジタル広告関係者が今後様々な意味でビジネスに影響を及ぼすと考えている業界動向を紹介しています。アメリカとイギリスでは結果が多少異なっているのですが、ここでは両方の調査で共通して挙げられた「eコマースプラットフォーム」に着目してみたいと思います。
eMarketerによれば、アメリカでは2018年46億1千万ドルもの広告費がAmazonに投じられました。これは前年比144.5%増です。業界関係者は莫大な広告費を集め始めたeコマースプラットフォームでのブランドセーフティへの対応を特に注視しており、同プラットフォームでいかにブランドリスクのない環境が実現できるかに注目が集まっています。イギリスでも81.6%がeコマースプラットフォーム、特にAmazonへの広告投資比率がさらに高まると回答しました。これはGoogle(56.1%)やFacebook(36.8%)を抜いてダントツの一位です。日本でも広告配信先としてのAmazonが存在感を増す中、Amazonでの計測やリスク対策がなされるのかが注目されます。
Industry Pulseはこのほかにも様々な示唆に富んだデータと分析を提示しています。
今回は前後編に渡って、その中でもいくつかのトピックをピックアップしてお伝えしました。
ご興味のある方は是非、レポートをダウンロードしてデジタル業界の最新トレンドをお確かめください。